『 名前呼んで笑って 』
どうしてこうも惹かれるんだろう?
どうしてこの人に惹かれるんだろう?
光をあつめて小さく人を模ったかのような、輝き。
人形の髪のような金糸。人形のような金の瞳。
人混みに埋もれてなお、見失うことのない煌めき。
おとぎ話に出てくるお姫様みたいに遠くを見詰めて、溜息をつく。
まさか自分が同じ性を持った人間に心を寄せる日が来るなんて思ってもみなくて・・・・・・僕もそっと溜息を殺す。
あなたが僕の想いに寄り添ってくれることなど、決してありはしないのに。
僕らは知識を持ち寄って、僕らは生活を共にして。
朝陽が射すまで語り合って図面を引いて笑いあって小さな口喧嘩もして。
あなたは笑う。笑って、怒って、くるくると表情を変える。
あなたは笑う。僕の笑顔にうっとりと微笑む。
遠くを見るように視線は僕をすり抜けて。
あなたはいつも僕の後ろに弟の姿を見ている。故郷に残してきた弟の姿を探している。
何の偶然なのか、何の悪夢なのか。
僕があなたの弟と同じ姿かたちをしているから・・・・・・。
ねえ、僕を見てよ。
僕の名前を呼んでよ。
僕を僕として、呼んでよ。
あなたの弟じゃない僕を、僕として見詰めて。
僕の胸の痛みを・・・・・・あなたの声で、癒して・・・・・・。
END