『 僕の暴走・貴方の自爆 ・2』








 突然、温かく濡れたとても気持ちのいい感触に包まれる。僕の視線の先、脚の間には金色の小さな頭。僕のムスコの先は、兄さんの口の中に消えている。


 唇を窄めて、吸い上げられて・・・・・・・・・。
 その狭い口腔の中で、子猫のような舌が絡みつく。
「・・・・・・・・・・・・・うっ」



 ・・・・・・・・・・・・・暴発。兄さんの、口の中に・・・・・・・・・。



 な、何が起こったんだ・・・・・・・・・一体・・・・・・・・・・・・・?

「に・・・・・兄さ、ん・・・・・・・・・?」
「ん、んん〜〜〜〜〜〜っっ」
 眉根をきゅっと寄せて苦しそうな兄さんの顔。

 こくん。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・えっっ?

「兄さん・・・・・・・・・ま、まさか・・・・・・」
 飲んだ・・・・・・?な・・・・・・なんでそんな・・・・・・・・・・・・・・・?
「ぅ・・・・・・・・・あおくさい・・・・・・・・・・・・・」
 口の端から一筋零れた白濁、むせてけほけほと咳き込む目元に浮かぶ透明な涙。
 可愛い。
 僕が放出したモノを吐き出すこともせずに飲み下して・・・・・・・・・恋人みたいに。
 可愛い、な。
 背を丸めて咳き込んで、目に涙をためて・・・・・・・・・まるで健気な恋人みたいに。


 可愛い・・・・・・可愛い、いとしい・・・・・・・・・・・・・兄さん。
 愛しさが、もうどうしようもなく膨れ上がって堪らなくて、抱きしめてしまいたくなる。

 愛しくて愛しくてこの腕のなかに閉じ込めてキスしたいと思った。
 大切にしたい。優しくしたい。



 この想いが恋でないなら愛でないなら、他の何をいったい恋と呼ぶというのか。



 僕はそっと、兄さんを抱き寄せ僕の肩に凭せ掛け、未だ咳き込む背中を優しくさすった。
 きれいな長い金の髪を撫で、目尻を濡らすきれいな涙を唇で吸ってこめかみに口付ける。
 紅い唇の端をよごす、僕の放った白濁を手に持っていた布でそっと拭って・・・・・・・・・。

「ん・・・・・・ん?あれ?」
 ぼんやりとしていた兄さんが、突然、驚いたように目を瞠る。僕の手からその白い布をひったくる。
「アル、何だこの女もんのハンカ・・・・・・・チじゃなっっ・・・・・・パパパパンツっっ!?」

「えっ・・・・・・・・・?えっっ!?あっ!?あぁぁぁぁっっっ!!!!!」

 そうだった!僕が握り締めていたのは慌てて隠した‘例のブツ’!!
「うわ何だコレ!わわっっ股割れてるしっっ!!アルの変態―――っ!!」


 丸い頬を真っ赤に染めて、うきゃーーっと完全にひっくり返った声で悲鳴を上げながら・・・・・・・・・なんでいきなりパジャマを脱ぎ始めるんだ兄さん・・・・・・・・・?


 呆然と見守る僕の目の前で、変な悲鳴(雄叫び?)を上げながらものすごい勢いでパジャマどころか全裸になると、そのレースでフリフリの小さな布に脚を通す。いつの間に見つけ出したのかベビードールさえも身につけて。




 なんなんだ・・・・・・・・・このひとは・・・・・・・・・・・・・・・・・?
 何をしてるんだ何がしたいんだ。




「アルのえっちぃっ」
 可愛らしい、やけに可愛らしい甘えた声で言って親指の爪を噛み・・・・・・・・・隠したいんだか見せたいんだかも定かでないM字開脚。


 グラリ、と、脳が大きく揺さぶられる感覚。
 ぷつんと、どこか遠くでほそいほそい糸が切れるような、それはそれは頼りない音が聞こえる。




 僕は、無言で兄さんの膝頭を掴み・・・・・・・・・ぱたん、と静かに腿を閉じる。




「おっぴろげるな、はしたない」
「あ、あああアル?・・・・・・か、顔が怖い顔が怖いっ!目ぇ座ってるっっっっ!!こここ、こういうの好きじゃないっっ?」
 わたわたと、兄さんは後ずさって逃げようとするけれど、力だったら僕のほうが強い。
「・・・・・・・・・恥じらえ、顔を赤らめろ」
「あ、アルフォンス・・・・・・・くん?」
「そんな恥じらいもなくおっぴろげられて萌えるかこんちくしょうっっ!!!」
「んきゃーーーーーーーっっっっっ」
 慌てふためく兄さんをベッドの上でころんと転がし、浮き上がった腰の下にはすかさず毛布を丸めて挟み込む。
「こんないやらしいパンツ履きやがって!」
 そのいやらしいパンツを持ち帰ったのは僕だという事実は棚に上げて奥の奥の奥のほうに押し込んで。


 抱きしめて優しくしたいのに、メチャクチャに抱いて僕のものにしてしまいたいとも思ってる。


 怒りと、情欲とは似ているのかもしれない。
 情欲と支配欲は同一のものかもしれない。
 押さえが利かないくらい、欲しくて欲しくて欲しくて。
 頭に血が上る。くらくらとして体が熱くて堪らない。

「女もんの下着つけて乳首尖らせてんのか、いやらしいな兄さんは」
 足首を掴んで開かせた腿の間に身体を挟む。浮き上がった乳首を布越しに捏ね繰り回す。

 興奮する。ものすごく興奮する。

「や・・・・・・・っだ、恥ずかし・・・こと・・・っちゃ、や・・・・・・・・・だぁ」
 泣きそうになって真っ赤になって、兄さんがイヤイヤと首を振る。


 そうだソレだ兄さん!可愛いよそそられるよものすごく!!

「気持ち良いんだろ?女の子の下着つけて乳首いじられて感じちゃうんだろ、淫乱な兄さんは?」
「やぁ・・・・・・・っ」
「嫌じゃないよね?前、こんなに硬くして。ほら、下着からはみ出して先っぽがトロトロに濡れてる」
「ぁあっ、アルが野獣ぅっ!」
 隠そうとする両手首を掴んで、ベビードールの前を留めるリボンを食んで引き解く。現れた肌を夢中で貪る。
 頭の中がしびれる。心地よく耳をくすぐる甘い喘ぎに酔いしれる。
 ついさっき放ったばっかりだっていうのにムスコはもう、ヤル気満々で滾っている。


 甘い甘い甘い。


 兄さんの背が反り返って僕の頭をかき抱いてきつくきつくしがみ付いて。

「アル・・・・・・・っ」

 甘い甘い甘い。僕の名を呼ぶ兄さんの甘い声に酔ってもう何も考えられない。何も考えずにただこの甘い肌に溺れていたい。



 兄さんが下に手を伸ばして僕の脈動に触れ、先端がヒクヒクと蠢く肉に導かれる。腰をきつく抱き寄せられて・・・・・・・・・。






 ぬぷん。





 あ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・入っちゃった・・・・・・・・・。









 やばいだろコレは洒落にならないだろこれはまるっきり近親相姦ってヤツじゃないかこれはなんの言い訳も出来ないじゃないか兄さんっっ!!

「ご・・・っゴメン兄さんっっ!!!すぐに抜・・・・・・・・・」

 ガシィッッ

 言い終わらないうちに、兄さんの脚は僕の腰をがっちりとカニ挟み。


「抜いちゃ駄目だっっ!!」
「うをっっっっっ!!!」
 兄さんが叫んで、繋がっているところがきゅっと締まる。
「抜いたら駄目なんだーーーーっっっ!!」
「ににににににに兄さんっっ!?」

 いや、だから叫ばないで兄さんお願い。

「せっかく・・・・・・アルと・・・・・・・・・なのに、抜いちゃ、ヤダ・・・・・・っひゃんっ」
 カニ挟みのままの脚で更に腰を引き付けられてぴったりと奥まで埋まる。どこか兄さんのツボを掠ったのか、小さな悲鳴が上がる。
「や、やじゃないの、入っちゃってるのに?」
 浅い息をして、気持ち良いみたいな困ったみたいな顔をしている兄さんの反応を見ながらほんの少し腰を動かす。
「やじゃな・・・・・・いっ・・・・・・・・・アルはい・・・・・の、入って・・・・・・・・・っ」

 口の悪さで評判だったあの『エドワード・エルリック』が、まるで別人のように可愛らしいことを舌足らずな甘い声で言う。
「アルがい・・・のっ・・・・・・」



 ゾクゾクする。
 こんなご馳走!こんな、食べてくれとおねだりしているとしか思えないご馳走!!!



 食わずにいられるかと、腰を動かし始める。



 狭く熱い肉が絡んで脳髄が溶けて。
 善がり声に誘われるまま夢中で腰を振って。





 据え膳食わぬは男の恥。
 いや、それよりこっちだ『毒を食らわば皿まで』。


 あのウエディングドレス、買ってやったら着るんだろうかとぼやけた頭の片隅で思いながら通り抜けた禁断の扉。


 対価にもっていかれたのは倫理だったか道徳なのか?










END