鋼映画設定と思わしき兄コスアルフォンス(14歳)

【 恋ひ慕ふ 】






 写真の中の見覚えないあなたは、強い決意を湛えた瞳と少しでも触れたら壊れてしまいそうな張り詰めた脆さで僕の心を鷲掴みにした。




 僕のなくした4年の間に、僕らはどんな絆を築いてきたの?
 僕が自分を代価にあなたの魂を呼び戻して、あなたがあなた自身を代価として消えた僕を練成して。自分の命以上に、お互いに、相手の命を大切にして。
 美しい家族愛?美しい兄弟愛?


 そんなものでは説明がつかない・・・・・・僕の中に渦巻く熱は・・・・・・これはなに?
 あなたの写真を見るたび覚えるこの渇きは、この、餓えは・・・・・・何?



 欲しいよ・・・・・・。
 唇が指先が掌が、あなたの熱を求めて、震える。
 欲しいんだ・・・・・・・・・兄さん、あなたが・・・・・・・・・・・・・。










 兄さんが着ていたという赤いコートを貰い、写真でしか知らない兄さんを真似て金の髪を長く伸ばした。兄さんの面影を何時だって求めて。

 ねぇ、会いたいよ・・・・・・会いたい。あなたに触れたい。あなたを抱きしめたい。
 キスがしたい・・・・・・あなたの肌に口付けたい。
 抱きしめて、身体中に口付けて、あなたのすべてを僕のものにしてしまいたい。
 僕のものに・・・・・・全部。





 兄さんのコートを素肌の上に羽織り、僕は大きな姿見の前に立った。
 窓から差し込む月明かり。
 僕の世界は青く神秘的な色に染まる現実から解き放たれる。




 曇りひとつない鏡の中に、ほら、兄さんが居る・・・・・・。




「会いたかったよ・・・・・・兄さん」
 うっとりと微笑みかければ、鏡の中の兄さんもとろりとした笑みを返してくれる。
 好きだよと囁きかかれば、兄さんの唇が同じ動きを返してくれる。
 鏡越しに、僕らは両の掌を重ねて、鏡越しに、口付けを交わして。
 触れるだけのキスからはじめて赤い舌を出して舐めあって。
 何度も何度もキスを交わして溢れる唾液でべとべとにして。


 鏡の中の‘兄さん’の、欲情したいやらしいかお。


「ねえ・・・・・・気持ち、いい?」
 問いかける。
 兄さんの唇が‘きもちいい’と動く。こたえを返す。
 口付けを交わす唾液に濡れる。
 鏡の向こうの兄さんのいやらしい顔。
 欲情して、興奮して。
 体が熱くて、熱が篭って、僕たちは同じように勃起して。

「あぁ・・・・・・熱いよ、にいさん・・・・・・・・・」

 鏡越しに熱を摩りあわせる。快感に腰の後ろがしびれて。
 鏡越しに口付けを交わす。舌を出して舐めあう。
 腰を揺らして擦り付けて同じリズムで擦り合わせて。
 溢れた唾液が鏡をつたう次々とつたう。
 気持ち、いい・・・・・・・・。
『きもちいい、よ・・・・・・・・アル・・・・・』
 泣きそうに潤んだ声が、僕の頭の中に響く。
 鏡の中の兄さんの唇がわなないて快感を教えて。


 いやらしいかお‘兄さん’のいやらしいかお。


 僕は夢中で擦り付ける。鏡をつたい落ちた唾液がソコを濡らす。
 くちゅくちゅといやらしい音を立てる。
 温かなぬめりが気持ちよくて強く強く擦り合わせて僕たちの先端から快感の滴がぷくぷくと露を結んで。
 くちゅくちゅと濡れてくちゅくちゅと濡れて快感の滴が次々と溢れて僕らを濡らしていやらしい水音をくちゅくちゅと立てて。
 いやらしいかお鏡の中のにいさんのイヤラシイ顔。
 気持ちよくて気持ちよくて興奮して熱い身体は甘くとろけて。
 鏡越しに僕らはソコを擦り付けて。ただもう夢中でこすりあわせて。
『あ・・・・・・ぁ・・・・・・・・・んっ。い・・・ぃよぉ・・・・・・・アル』
 口の端からこぼれた唾液を赤い舌が舐め拭って。
「ねえ・・・・・・兄さん、もっと、気持ちよく・・・・・・・なろう?」



 鏡の中の兄さんが僕の性器を握る。
 鏡の中の兄さんの性器を僕が握る。
 同じリズムで上下させて。
 おなじリズムで快感を分かち合うとろとろと快感の滴を溢れさせる。
 鏡の中の兄さんは甘くとろけきった淫らなかおで笑って。
 ぐちゅぐちゅと音を響かせる気持ちよくてきもちよくてもう夢中で擦りあげて。
「あ・・・・・・あ・・・・・・ぁ・・・・・・・・・」
『あ・・・・・・あ・・・・・・ぁ・・・・・・・・・』
 頂に押し上げる頂に押し上げられる唇がわななく兄さんの唇が快感に震える。
 頭の中が白くかすむチカチカと弾ける。
 頂に押し上げられる頂に押し上げる絶頂はもうそこにある。
 身体はがくがくと震えて快感で覚束ない手でただもう夢中で擦りあげて。
「も・・・ぅ、イク・・・・・・・ぃっく」
『も・・・ぅ、イク・・・・・・・ぃっく』
 絶頂を迎える僕らは絶頂を迎えるびゅくびゅくとのたうちながら吐き出されるどろどろと濃い白濁。力が抜けてへたり込む。
 鏡に吐き出された青臭い白濁が、鏡の中の兄さんの、恍惚とした顔をつたう。快感に潤んだ貌を穢しながら伝い落ちる。
 僕の精に汚れていく兄さんの顔を見つめて僕の心が悦びに震えた・・・・・・・・・。











 自分の命を投げ出して、僕をこの世界に呼び戻したのだと皆が言う。
 あなたはもう何処にもいないのだと。


 でも、僕は信じない。


 僕はあなたを呼び戻す。
 僕はあなたを取り戻す。






 たとえ・・・・・・あなたが此の世のものでなかったとしても・・・・・・・・・。









END


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